開催概要
開催趣旨
学習者が計算結果を解答する数学のドリルコンテンツは、コンピュータの演算機能を活用した e-Learning コンテンツとして早くから注目されてきた。ここで、数式を入力するドリルを扱う際には、学習者が入力した数式が正解と等価であるかを評価する仕組みが必要となる。この問題を解決するために、数式処理システムと連携するドリルシステムが提案されてきた。さらに今日では、学習マネジメントシステムと連携する数式自動採点の枠組みも提案されている。
そこで、本研究会では、学習者の入力した数式の状態にあわせて細やかなフィードバックを行うことができ、学習マネジメントシステム Moodle と連携する数式自動採点の枠組みである STACK と、学習者の解答が正解であったかを判定するだけではなく、式展開を追跡し、複数行の数式の中から、間違った箇所を指摘することが可能な人間の教員による数式の採点に似た自動採点システムについて紹介する。
プログラム
- 13:30 - 15:00
- [ 講演1 ]
数学eラーニングシステムSTACKの日本語化総括、機能拡張、および活用事例
講師 中村 泰之 氏 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
講師 中原 敬広 氏 (合同会社三玄舎)
要旨
eラーニングのコンテンツとして、数学や物理などの数式が必要な場合場合、数式を数式として扱うことは、非常に困難である。よくある学習コンテンツとでしては、初期条件やパラメータを設定することで結果をシミュレーションするものや、センター試験のように数字で各桁を答えるもの、また、多肢選択式から選択して解答するものなどが多く、数式そのものをそのままの数式で解答した場合には、正誤評価はできないものがほとんどである。ここでは、数学オンラインテスト評価システムSTACK(System for Teaching and Assessment using a Computer algebra Kernel) を用いて、Web 上で数学の問題を解き、 その解答を数式として正誤評価を行い、LMSであるMoodle と連携させることにより、数式を扱う自然科学教育のためのe-Learning システムとしての概要を紹介するとともに、日本語化総括、機能拡張、およびいくつかの活用事例について報告する。
- 15:00 - 15:20
- [ 質疑応答 ]
- 15:20 - 15:30
- [ 休憩 ]
- 15:30 - 16:30
- [ 講演2 ]
数式処理システムを活用した記述式数学ドリルの自動採点
講師 篠田 有史 氏 (甲南大学情報教育研究センター)
要旨
数学のeラーニング教材として、学習者が入力した数式を自動採点するドリルを構築しようとする場合、入力された数式と正解の数式とが、数式として等価であるかを評価して採点することが求められる。このような自動採点システムの開発では、従来は、希望する採点動作を実現できるよう、数式を評価する仕組みを検討する所からスタートする必要があった。しかし、今日では、数式処理システムを持つ多彩な機能を利用して、学習者が入力した数式を評価することが可能となっている。本研究では、数式処理システムMaximaを用いて作成した数式評価サーバと、複数行の数式入力を受け付ける数式管理クライアントとを組み合わせた記述式数学ドリルを構築する。このドリルは、正解に一致するといった観点からの評価だけではなく、学習者が入力した数式の連続性による評価が可能であり、細やかなフィードバックによる新しいオンライン学習体験の提供を目指したものである。
- 16:30 - 17:00
- [ 質疑応答・意見交換 ]
参加費
無料 (どなたでもご参加いただけます)。
お問い合わせ
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CIEC 事務局
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研究会への参加について
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