開催概要

テーマ e-Learningにおける数式自動採点の可能性 2
開催日 2014年2月22日(土) 13:15 - 17:45
会場名 名古屋大学 IB電子情報館014講義室
報告書(PDFファイル) CIEC 第100回研究会の報告PDF ファイルサイズ 503404kB

開催趣旨

e-Learningの重要な機能の一つが、学生の理解度を確認するためのオンラインテストである。ただし、従来のオンラインテストは正誤問題、多肢選択問題、穴埋め問題などの形態が主流で、自然科学系科目で求められる、数式の正誤評価を行うタイプのオンラインテストは近年になって注目されてきた形態である。その可能性を議論するために、約2年前に「e-Learningにおける数式自動採点の可能性」と題して研究会が開催された。その研究会では、二つのシステムが紹介されると同時に、数式自動採点システムの普及のためには、良質なコンテンツが蓄積されることが重要であるとの指摘も出された。

そこで、本研究会では、「e-Learningにおける数式自動採点の可能性2」として、英国で開発された数学オンラインテスト評価システムSTACKの問題を中心とする、コンテンツ蓄積のための仕組みである問題バンクの構築について紹介するとともに、北米を中心とする利用実績の高いMaple T.A.の主にカナダでの活用事例、大阪府立大学における webMathematica を活用した数学到達度評価システムの活用事例、および問題自動生成システムであるウルフラム社の Problem Generatorについて紹介する。いずれも、共通の重要なキーワードとしてコンテンツの生成・蓄積を扱っている。これらの報告を土台として、数式自動採点システムの可能性、課題を明確にし、効果的な活用方法について議論を行う。

プログラム

13:00 -
受付開始
13:15 - 14:00
[ 講演1 ]

STACK を用いた数学eラーニングの実践例とSTACK用の問題バンクの構築
講師 谷口 哲也 氏 (北里大学)

概要

自然科学系科目の学習を支援するために、 ラーニング・マネジメント・システム(LMS) のオンラインシステムを活用する場合、 従来の、 正誤解答方式、 多肢選択解答方式、 数値入力方式だけではなく、 数式で入力された解答の自動採点を行う、数式入力解答方式が求められる。さらに、 正誤評価だけではなく、 学生の様々な解答に対して適切なフィードバックを与えることが重要である。 本公演では、 これらを実現することができる Moodle と STACK を利用した北里大学における実践例を紹介する。また、 STACK 用の問題を効率的に蓄積し、 共有していくことのできる問題バンクについても紹介したい。

14:00 - 14:10
[ 質疑応答 ]
14:10 - 14:55
[ 講演2 ]

数学系オンラインテスト・評価システムMaple T.A.の導入事例 in カナダ
講師 加藤 克也 氏 (サイバネットシステム株式会社)

概要

Maple T.A. はカナダ Maplesoft 社が開発・販売するウェブベースの数学系オンラインテスト・評価システムである。処理系に数式処理システムMaple の計算エンジンが採用されており数値だけでなく数式の正誤判定や解答の部分評価なども可能となっている。最近、本システムの導入が欧米の大学を中心に増え始めており、いくつかの導入事例も報告されるようになった。本講演では、はじめにMaple T.A. の運用プロセスを俯瞰し、その特長的な機能を Maple の働きを中心に述べる。続いて、Maple T.A. の導入事例として、採点コストの削減に成功したウォータールー大学およびドロップアウト率の低減を達成したゲルフ大学の導入事例を紹介する。特に、ゲルフ大学が主導し Maplesoft 社が開発を支援したMaple およびMaple T.A. ベースの教材パッケージの授業利用について具体的な例を交えながら解説する。

14:55 - 15:05
[ 質疑応答 ]
15:05 - 15:25
休憩
15:25 - 16:10
[ 講演3 ]

Mathematica利用の数学到達度評価システムとSTACKとのコンテンツ相互利用
講師 吉富 賢太郎 氏 (大阪府立大学)

概要

大阪府立大学では Mathematica を利用した Web数学学習システムとその後継の数学到達度評価システムを運用している。前者は主として授業外学習支援を目的とし、 後者は理解度を計るシステムとして導入された。数学到達度評価システムは学習単元毎にレベル設定を行い、 各レベル1~3問程度の問題から構成され、それぞれの問題は問題パラメータを乱数化したものを用いることによって、 自宅での実施を可能にしている。ただし、 問題の作成は依然としてCASの構文に関する知見が必要で、 また、 単に数値パラメータの乱数化だけでは十分な問題パターンが得られない場合もあり、 問題コンテンツは質的にも量的にもまだ不十分である。このような問題を解決するためには教材の共有化による複数教員による教材開発が急務であり、 システムの差を越えた教材の相互利用ができる事が望ましい。数学到達度評価システムとSTACK の場合を例にあげ、 コンテンツ構造を比較し、相互利用の可能性を検証する。

16:10 - 16:20
[ 質疑応答 ]
16:20 - 17:05
[ 講演4 ]

Wolfram|Alpha:Problem Generator によるウェブ自動学習
講師 中村 英史 氏 (Wolfram Research Asia Ltd. Technology Evangelist)

概要

ウルフラム社が提供する Wolfram|Alpha は、平文 (英語) で入力された計算可能な問題に、直接的な解答の他、関係する情報を含めて返してくれるウェブサービスである。数学、物理や化学などの自然科学から、社会科学、人文など幅広い分野をカバーする、有効かつ強力な問題解決支援ツールである。一方で、遠隔教育の観点でみると、問題生成の自動化が望まれる。それに応えるのが、掲題の Problem Generator である。問題を自動生成するメカニズムやサービスは珍しいものではないが、ウルフラム社の Problem Generator がユニークなのは、ユーザの回答があっているかどうかを判定するだけでなく、解けなかった場合にWolfram|Alpha を使って、正解だけでなく、正解に至る道筋を教えてくれることである。すなわち、受講者は、問題の解き方を自分のペースで学習することが出来る。インターネット接続して実例を示しながら、いくつかの特徴を解説する。

17:05 - 17:45
[ 質疑応答と自由討論 ]
17:45
[ 閉会 ]

参加費

CIEC 会員は無料、その他の方は500円となっています (どなたでもご参加いただけます)。


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