開催趣旨

2012年8月に開催予定の2012PCC京都大学のセミナー1においては「教育実践から視る未来-授業で何を学ばせたいか-」というテーマの下、初等中等教育の過去10年を振り返り現在の問題点や課題を明らかにするとともに、近い将来、大きく変化すると思われる教室おける学びについて学習指導要領に規定されるものよりも更に広い視点から学びについて議論していきたいと考えております。

この研究会は、2012PCC京都大学のセミナー1と関連した内容として小中高部会と外国語教育研究部会が企画いたしました。現在、小学校と中学校では新しい学習指導要領のもとで授業が実施されており、高等学校でもまもなく全教科にわたって新しい実践が始まろうとしています。この研究会では、現在の小学校・中学校で子どもたちの学びがどのような変化しているのかについて具体的に検討するとともに、これからの教室について(インフラ)設備面に焦点をあて、そこでどのようにICTを活用していくのかについて議論することを目的としています。

講師の大阪市教育センターの高見砂千氏には、小学校と中学校の英語における「逆向き設計による授業の組み立て方」について、実践をふまえたお話をいただきます。大阪教育大学附属平野中学校の冨藤賢治氏には、必ずしも十分とは言えない環境の中で、特段にICTを得意としない普通の教員がICTを利用する中学校英語授業の実践についてお話をしていただきます。その後、2010年に開設された関西大学附属中等部高等部の教室設備等を見学後、関西大学附属中等部高等部の江守恒明氏を中心に、これからの設備のあり方とICTの活用について参加者の皆様と討論することを予定しております。

この研究会は、これからの初等中等教育における学びの変化やICT活用の変化に興味関心を持っておられる方、あるいは、英語教育の実践を一歩前へ進めたいと考えておられる先生方を対象にしています。また、2012PCC京都大学の小中高部会主催セミナー1のテーマに関心を持っていただける方が参加いただければ、本研究会後の2012PCCにおける議論を重ねていただくことで、将来の初等中等教育における学びにCIECが参加者とともに取り組んでいけることを望んでいます。

プログラム

13:00 - 13:05
[ 開催趣旨説明 ]
13:05 - 14:05
[ 講演1 ]

授業の新しい組み立て方 - 逆向き設計による授業展開 -
講師 高見 砂千 氏 (大阪市教育センター)

14:05 - 15:05
[ 講演2 ]

ICTを利用した中学校英語授業の実践について
講師 冨藤 賢治 氏 (大阪教育大学附属平野中学校)

15:05 - 15:35
[ 休憩と教室設備見学 ]
15:35 - 16:35
[ 意見交換 ]

教室の設備とICTの活用について討論
モデレータ 江守 恒明 氏 (関西大学附属中等部高等部)

16:40
[ 閉会 ]

参加費

無料 (どなたでもご参加いただけます)。


開催趣旨

小中学校への電子黒板の整備、フューチャースクール推進事業等での1人1台環境、高等学校や大学でのiPadの導入など、デジタルデバイスの教室への普及はここ1~2年で急速に進んでいる。しかし、機器だけが突然整備されたまま、授業で使用されていない状況も起きている。教育現場の実態としては、これらの機器がどんなものであり、どのように使ったらよいのか、困惑している先生方も多いのではないだろうか。ICT機器は道具でしかない、とよくいわれるが「どんなものかわからないものは、道具として使えない」というのも事実である。

そこで、本研究会では日ごろICT機器の利用について困っている先生方、これから教員を目指す学生の方々などを対象に、進化し続ける様々な機器、環境等についての情報を共有し合う場としたい。手段(道具)から目的(授業のねらい)を考えることは、本来のアプローチとは逆といえるが、新たな授業、学びの場を作りだすきっかけづくりになればと考えている。

前半では内田洋行のモデル教室である「フューチャークラスルーム」にて、複数プロジェクタや備え付けの電子黒板、無線LANなどが整備された教室機能の概要を聞き、模擬授業を体験して未来の教室環境のイメージをつかむ。

後半では、様々なデジタルガジェット(gadget:装置、仕掛け)やクラウドサービス等の情報共有を行い、ディスカッションの中から教育利用への可能性を探りたい。

※新しい機器、面白いサービス、アプリなどの情報をお持ちの方は、ディスカッション内に飛び入りでご紹介いただければ幸いです。(ご紹介いただく際には、教育でどう使うのか、という視点は不要です。)

プログラム

13:00 - 13:10
[ 開催趣旨説明 ]
13:10 - 13:40
[ フューチャークラスルーム機能紹介 ]

講師 青木 栄太 氏 (内田洋行教育総合研究所)

13:40 - 14:10
[ 模擬授業 ]

講師 池田 記子 氏 (内田洋行ソリューション&サービスビジネス部)

14:10 - 14:40
[ 教室機能の体験、他モデルルーム見学 ]
14:40 - 14:55
[ 休憩 ]
14:55 - 16:20
[ ディスカッション ]

デバイス、環境から未来の学習を考える

16:25
[ 閉会 ]

参加費

無料 (どなたでもご参加いただけます)。


開催趣旨

CIEC研究委員会では、会員の専門性に対する要望を取り入れながら、会員相互の研究や教育の実践事例の成果などに関連する交流を促進する場として、魅力的な研究会づくりを目指しています。CIECは、幼児教育から大学教育まで幅広い教育関係者や学生、生協職員、企業、NPOの方々など、様々な会員で構成されています。こうした多様性が専門の領域を越えて多分野間の横断的な交流を促進するエネルギーにもなっており、研究会活動の活性化に役立っています。

今年度も、学びとコンピュータやネットワークの利用に関する幅広い分野から、教育や研究の成果を募集し、査読付発表論文誌「CIEC研究会論文誌 Vol.3」を発刊するとともに、採録された論文の研究発表を「CIEC春季研究会2012」において行います。本研究会では、コンピュータおよびネットワークの利用のあり方とその可能性に関する研究や実践事例の成果が報告されます。会員のみなさまの積極的な参加をお待ちしております。

プログラム


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論文発表プログラム (PDF形式, 201KB)

セッション1 座長 野澤和典(立命館大学)

13:00 - 13:25
[ 実践論文 ]

SNS を利用した海外大学との交流に関する提言
篠崎文哉(大阪教育大学大学院)・秋永真由子(同)・鈴木翔大(同)/冨藤賢治(大阪教育大学附属平野中学校)/吉田晴世(大阪教育大学)

13:25 - 13:50
[ 実践論文 ]

言語構造式描画ソフト「LangDraw 2」の実用版完成報告‐英語教育における新たなマークアップ言語活用の実践として‐
木村修平(立命館大学)

13:50 - 14:10
[ 研究報告 ]

ハングル能力検定試験(5 級)の学習アプリの開発 ‐Android スマートフォンを用いて‐
金義鎭(東北学院大学)・金惠鎭(同)

セッション2 座長 大岩幸太郎(大分大学)

14:10 - 14:35
[ 実践論文 ]

中等教育における簡易VR 環境の違いによる学習効果の差異に関する研究
安藤公彦(東京工科大学)・松永信介(同)・稲葉竹俊(同)

14:35 - 15:00
[ 実践論文 ]

中学生向け歌唱学習用ラーニングシステムの開発と評価
稲葉竹俊(東京工科大学)・古谷将(同)・安藤公彦(同)・松永信介(同)

15:00 - 15:25
[ 実践論文 ]

シミュレーション教材を使った体験的な学習を組み込んだ授業の開発と評価
八巻龍(筑波大学)・中園長新(同)・鈴木佳苗(同)

休憩 15:25 - 15:35

セッション3 座長 中西通雄(大阪工業大学)

15:35 - 15:55
[ 研究報告 ]

「コンピュータ科学」の総合的学習方式
鎌田洋(金沢工業大学)

15:55 - 16:20
[ 一般論文 ]

アルゴリズム・論理的思考学習の実践と成果分析‐単元前後の生徒アンケート結果を元に‐
中園長新(筑波大学大学院)

16:20 - 16:45
[ 実践論文 ]

LSI 設計業務におけるインターンシップ事前学習支援WBT システムの開発と利用効果
田中良一(佐賀大学大学院)/Nishantha, Giguruwa, G.D.(立命館アジア太平洋大学)/浅川毅(東海大学)/林田行雄(佐賀大学)

セッション4 座長 辰己丈夫(東京農工大学)

16:45 - 17:10
[ 一般論文 ]

現代版コンピュータ態度尺度を用いた世代間差の検討 - インターネット調査を基に -
落合純(東北大学大学院)・河野賢一(同)・和田裕一(同)

17:10 - 17:35
[ 実践論文 ]

アニメーション教材を活用した数学史の授業開発‐中学校数学「図形の証明」における試み‐
阿部学(千葉大学大学院)/塩田真吾(静岡大学)/藤川大祐(千葉大学)/古谷成司(富里市教育委員会)/市野敬介(NPO 法人企業教育研究会)

17:35 - 18:00
[ 実践論文 ]

図形の性質と3 次元計測技術の関係を理解するデジタル教材の開発 -身近な情報機器の仕組みを題材として-
塩田真吾(静岡大学)/阿部学(千葉大学大学院)/藤川大祐(千葉大学)/古谷成司(富里市教育委員会)/市野敬介(NPO 法人企業教育研究会)

参加費

CIEC 会員は無料、その他の方は500円 となっています (どなたでもご参加いただけます)。

CIEC 研究会論文誌 Vol.3:2500円(税込)(当日限定価格)


本研究会を Ustream で配信いたします。
チャンネル: http://ustre.am/FuVr または http://www.ustream.tv/channel/ciec第94回研究会

開催趣旨

学習者が計算結果を解答する数学のドリルコンテンツは、コンピュータの演算機能を活用した e-Learning コンテンツとして早くから注目されてきた。ここで、数式を入力するドリルを扱う際には、学習者が入力した数式が正解と等価であるかを評価する仕組みが必要となる。この問題を解決するために、数式処理システムと連携するドリルシステムが提案されてきた。さらに今日では、学習マネジメントシステムと連携する数式自動採点の枠組みも提案されている。

そこで、本研究会では、学習者の入力した数式の状態にあわせて細やかなフィードバックを行うことができ、学習マネジメントシステム Moodle と連携する数式自動採点の枠組みである STACK と、学習者の解答が正解であったかを判定するだけではなく、式展開を追跡し、複数行の数式の中から、間違った箇所を指摘することが可能な人間の教員による数式の採点に似た自動採点システムについて紹介する。

プログラム

13:30 - 15:00
[ 講演1 ]

数学eラーニングシステムSTACKの日本語化総括、機能拡張、および活用事例
講師 中村 泰之 氏 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
講師 中原 敬広 氏 (合同会社三玄舎)

要旨

eラーニングのコンテンツとして、数学や物理などの数式が必要な場合場合、数式を数式として扱うことは、非常に困難である。よくある学習コンテンツとでしては、初期条件やパラメータを設定することで結果をシミュレーションするものや、センター試験のように数字で各桁を答えるもの、また、多肢選択式から選択して解答するものなどが多く、数式そのものをそのままの数式で解答した場合には、正誤評価はできないものがほとんどである。ここでは、数学オンラインテスト評価システムSTACK(System for Teaching and Assessment using a Computer algebra Kernel) を用いて、Web 上で数学の問題を解き、 その解答を数式として正誤評価を行い、LMSであるMoodle と連携させることにより、数式を扱う自然科学教育のためのe-Learning システムとしての概要を紹介するとともに、日本語化総括、機能拡張、およびいくつかの活用事例について報告する。

15:00 - 15:20
[ 質疑応答 ]
15:20 - 15:30
[ 休憩 ]
15:30 - 16:30
[ 講演2 ]

数式処理システムを活用した記述式数学ドリルの自動採点
講師 篠田 有史 氏 (甲南大学情報教育研究センター)

要旨

数学のeラーニング教材として、学習者が入力した数式を自動採点するドリルを構築しようとする場合、入力された数式と正解の数式とが、数式として等価であるかを評価して採点することが求められる。このような自動採点システムの開発では、従来は、希望する採点動作を実現できるよう、数式を評価する仕組みを検討する所からスタートする必要があった。しかし、今日では、数式処理システムを持つ多彩な機能を利用して、学習者が入力した数式を評価することが可能となっている。本研究では、数式処理システムMaximaを用いて作成した数式評価サーバと、複数行の数式入力を受け付ける数式管理クライアントとを組み合わせた記述式数学ドリルを構築する。このドリルは、正解に一致するといった観点からの評価だけではなく、学習者が入力した数式の連続性による評価が可能であり、細やかなフィードバックによる新しいオンライン学習体験の提供を目指したものである。

16:30 - 17:00
[ 質疑応答・意見交換 ]

参加費

無料 (どなたでもご参加いただけます)。