飯吉 透 (京都大学 学術情報メディアセンター/大学院教育学研究科 教授)

21世紀の世界は、これまでになかった社会構造や産業形態の流動性と共に急激に変化し続けています。その大きな要因としては、グローバル化やテクノロジーの目覚ましい進化・普及があり、とりわけAIやデータサイエンスの進展によって、この流れはさらに加速し続けています。


その一方で、学び手と教え手の多様化と学び方と教え方の多様化が進み、個々人の学習ニーズや学習スタイルにきめ細かく応えることが可能な「時空に制約されない新しい教育システムや学習環境」の構築が始まっています。ポストパンデミック期は、目的やニーズに応じたテクノロジーと教育・学習方法のベストミックスの模索と共に、「教育の元禄文化」とも呼べるような、テクノロジーの教育的活用が百花繚乱となる様相を呈し始めているのです。

CIECのCはCommunityとComputers、IはInnovation、EはEducationを表しており、教育現場や教育実践研究を通して育まれる豊かな知見やノウハウと、それらの共有による相互的・持続的進化が、実践コミュニティとしてのCIECの最大の強みだと考えています。会員 (社員) の皆さんのテクノロジー活用教育に対する絶え間ない努力と熱意によって支えられ、CIEC会誌「コンピュータ&エデュケーション」やPCカンファレンス、CIECウェブサイト・SNS等を通じて、様々な実践や研究・開発から得られた成果や知見が精力的に発信・共有されているのは素晴らしいことです。

元禄文化が町人中心の文化であったように、ボトムアップに生まれ育ち続ける教育イノベーションを、どのようにしてCIEC内で共有・水平展開・切磋琢磨を加速させるかは勿論のこと、CIECの様々な活動を広く社会に向けて発信し、さらに多くの人たちに興味と希望を持ってCIECに参加してもらうために、会長理事として、執行部・理事会・各委員会・事務局や会員 (社員) の皆さんと積極的に議論・検討・実行を進めながら、今後のCIECとより良い教育や世界の発展に貢献させていただければ幸甚です。どうぞよろしくお願いいたします。

2024年8月24日